首相から大統領へ。エルドアン、独裁者になるってよ。
エルドアンが被選挙権を回復し首相に就任したのは2003年。
何も最初から独裁者だったわけではない。
独裁者というのはいつの時代も国民から一定の支持を得られるからこそ独裁できるというものだ。
彼はトルコ経済に大きな貢献をした。
首相に就任すると経済の構造改革に取り組み、財政を健全化してインフレを抑え込んだ。つまり日本のようにバブルに浮かれずに崩壊を未然に防いだのだ。
そして国内の政治も安定したことで国外からの投資も進んでいき高度経済成長を実現した。国民一人当たりの所得は2002年から2013年まででなんと3倍に上がったという。
エルドアン様様である。
さらにエルドアンが国内だけでなく国外でも人気を集めた出来事がある。
特に中東地域において存在感を高めたのがイスラエル批判だ。
当時、イスラエルがパレスチナのガザ地区に侵攻したことに対し「イスラエルは人殺しだ!」と国際会議の場で堂々発言したのだ。イスラエル問題は宗教だけではなく、イスラエルをバックアップするアメリカとの関係も複雑に絡む問題である。
各国がイスラエル問題になるとぼんやりとした発言なのに対してこの発言だ。
これに拍手を送ったのはパレスチナ人やアラブ人。
エルドアンは中東において一躍英雄となるのである。
ここまではまだ”人気”があるだけ。
ではどのように独裁を進めていったか。
トルコは日本と同じ議会制民主主義の国である。国民から国会議員を選び、その国会議員の中から首相を選ぶ。首相は政治的実権を持っている。
では大統領はどうなのか。
日本では馴染みがないが大統領というのは国家元首にあたる。国家元首というのは国の代表みたいなもの、つまり国のトップ。
イギリスならエリザベス女王だし日本なら天皇である(明確に言うなら憲法には規定されていないが…)。
本来であれば大統領は行政権を持っていない。
しかしエルドアンは国のトップを目指した。
トルコでは2007年に大統領を国民の直接選挙で決めるように憲法が改正された。
トップを目指すエルドアンはもちろん立候補。見事2014年に大統領に就任するのである。
首相には自分に従順な人物を置き実質的に政治も支配。
そしてついに大統領に強力な権限を持たせようとする憲法改正に踏み切り可決されたのである。
これからトルコはどうなっていくのか。大統領から目が離せない。