「最強民族部隊」クルド人の危機?トルコのシリア侵攻
トルコが2019年10月シリアにて軍事作戦を開始したとニュースで報じられた。
これは今に始まったわけではない。
トルコは過去に3度もシリアに侵攻している。
なぜトルコはシリアに攻めるのか。
これは非常に複雑を要する。
シリアは2011年から内戦が続いておりシリアを支配するアサド政権を倒すべく、欧米やトルコは反政府組織を立ち上げ、資金や武器を援助しアサド政権打倒のため立ち向かわせた。
しかしうまくいかず、最悪なことに反政府組織へ渡していた資金や武器が第三勢力によって頻繁に奪われるようになってしまう。イスラム国だ。装備が充実したイスラム国は勢力を拡大し支配地域を拡大させ、欧米諸国へは頻繁にテロを仕掛けていた。
そうなると当然黙っていないのはアメリカ。しかしアメリカ軍を現地に送れば少なからず巻き添えを食らってしまう。そう考えたアメリカはイスラム国を倒すため、現地の最強民兵組織のサポートをすることで自分たちの手を汚さずに内戦に加入する。その第四の勢力がクルド人だ。
クルド人は独自の国を持たない世界最大の民族集団である。
大国からの強力な武器とそれを扱う練度の高さゆえにその戦闘力は一国の軍隊に匹敵するといわれる。いわば最強部隊。
そして現在に至る。
アメリカが突如シリア北部からの撤退を表明したのだ。つまりクルド人への裏切りである。
アメリカ軍の支援がなくなり、トルコは以前から「テロ組織」と認定しているクルド人を掃討するためシリアへ侵攻を始めた。
クルド人はトルコ軍の侵攻を食い止めることに精一杯でイスラム国への牽制が弱くなってしまっている。イスラム国がまた力を取り戻すきっかけになってしまうのではとアメリカへの非難もある。
このままではトルコ軍に攻められてしまうクルド人は敵の敵は味方ということでアサド政権と手を組んだ。
そして今まさに戦闘が始まっているのである。
この複雑な関係を理解するのは難しいが、それぞれの立場を理解できれば「なぜ?」がわかってくる。